「赦し」一択

稽古を通じて思うのは、

人間ってあんまり複雑なことを考えられないんじゃないか?

ということです。

追い詰められたら、追い詰められるほど思考は単純になっていく。

ある種、稽古ってそれを疑似体験するものです。

相手の攻撃がシビアであればあるほど、対応は単純になります。

赦すか? 赦さないか?

その二者一択になります。

「赦す、赦さない」

これは言葉の問題でもありますけれど、技の性質を端的に表現しています。

そして、稽古においては「赦す」一択です。

「赦さない」と技が増えます。

「処罰」「こらしめ」に段階があるのと同じです。

そして究極は「殲滅」です。

「赦す」と技はおおらかになり、減ります。

最終的に「あー! えい!」とやるだけになります。

人間生きてると、この単純なことが難しくなります。

だから、稽古で練習します。

回数が重要です。

「赦さない!」と頑張って、力んでいるエゴに

「赦し」を教えるのには時間がかかるのです。

「赦す」には段階はありません。

一点の曇りもないのが「赦し」です。

一点の曇りがない赦しなんて、なかなかできない

だから

そうやって何度も何度も練習していきます。

今、世界を見ると

「この私の痛みがわかるか!?」と怒り、訴える姿があります。そして「赦さない!」と言います。

気持ちはわかります。

でも、それでは終わらない。

いつまでも、終わらない。

いますぐ終わらないと、本当の意味で「終わって」しまう。

そんな日が来ないようにと

せめて私達だけでも

日々練習をしていきたいものです。